2010年2月4日木曜日

企業の社会貢献とは、雇用確保だ

先日、横浜の大手カーディーラーの社長とお昼をご一緒しながら3時間ほどお話しする機会がありました。トヨタ自動車の大量リコールに見るアメリカ政府と日本政府の対立などの話題から始ったリコール対応の考え方についてや、オーナー企業の事業承継問題、お客様の声の吸い上げと反映について、などなど色々とお話を頂きました。
この方も昔から私をかわいがってくださり、よく視察旅行に同行させていただいたりしていたので、ざっくばらんにお話を聞いていたのですが、その中でも一番心にグッときたものは、「企業が果たすべき目的」という話題でした。
普段はとても温厚で、とてもかわいらしい面(大社長様に大変失礼ですが)を沢山お持ちの方なのですが、「企業の最大の社会貢献は雇用確保だ」とはっきりとおっしゃった瞬間はその場の空気がピリッとしました。

この不景気で失業率は高く、労働者の最低限の衣食住の確保というのは大きな社会問題です。しかし、激減した売上に対する必要以上の固定費負担による企業利益圧迫と、人材教育による投資は、一見相反するようですが、経営者にとっては表裏一体であり、最大の懸案項目です。

人材教育による投資という意味では、採用から約2年間ははっきりいって使い物になりません。
OJTも含め、じっくり、根気よく、性格や伸び幅などを見ながら育てていきます。
ですから、採用から2年間分のお給料は退職のリスクを抱えながら、ほとんど捨て金になるかもしれないという前提の投資なのです。
しかし、この期間がなければ人員が人材にならないことも確か。
今どこの企業もそのタイムスパンに耐えられないというのが失業率増加を生みだします。
それだけではなく、既存従業員による固定費負担の利益圧迫は、今まさにそこに起きている問題として誰もが認識していますし、そこに手をつければ一番手っ取り早く経費削減効果が顕著に現れます。ただ、安易に手をつけてしまうと削減と投資の間に生まれた人材の空洞化が起こってしまうのです。

それら全てを踏まえたうえで、「企業の社会貢献とは雇用確保だ」と言いきり、この厳しい情勢の中でそのポリシーを現実に貫いているこの社長のもとで働ける社員の皆さんは、なんて幸せだろうと心から思いました。
きっと従業員の皆さんもそんな社長の思いがわかっているのでしょうね。
みなさん、とてもいい顔をして働いていらっしゃいます。

会社はスタッフ全員が作るもの!
人生が顔に現れるように、会社の良し悪しもスタッフの顔に現れ、スタッフの言動に会社が現れる。
人員を人材に、会社の一番の財産を守り、育てていく。
「企業の社会貢献をきっちり果たしています」と胸をはっていえるように、私自身も社長から社財になれるよう頑張らなくちゃ!

1 件のコメント:

  1. 匿名にて失礼いたします。お父上様とお祖父様に(会社を通じて)多少ご縁のあった者です。まずはお父上の早すぎるご逝去に心から哀悼の意を捧げご冥福をお祈りいたします。本当残念です。基夫さんならこのトヨタ問題どう解決したでしょうか。
    さて、横浜の社長様のお話興味深く、そのとおりなり!と思いましたが、お祖父さまも座右の銘に「人は石垣、人は城」とおっしゃっていました。ミチュランさんにも十分そのDNAが流れていらっしゃるし、社長様と意気投合されたのでは。さて、今回のトヨタ問題。信頼を早期に取り戻さなければなりません。前回の東京の社長様の言葉「正しいことをしなさい。正論は一つだけだ。経営者が正論でなければいけないよ」まさに然りなりですよね。小生の稚拙なアタマで考えるに、信頼とともにある「安心感」をいかにお客様から得るか、ではないでしょうか。リコールで修理してハイ一丁上がり。ではなく「その後はいかがか」とお客様一人一人にしつこいくらいに意見を求め
    意見はメーカーに届け、その対応や更なる改善などをユーザーにフィードバックし、ユーザー×ディーラー×メーカーが一体となって安全作りに参加し、大きな安心感を得てゆくことだと思います。お父様の言葉「チャンスは貯金できない」この苦境をチャンスと捉え早期に安心感と信頼を回復して、日本のトヨタユーザーとディーラーとメーカーの強固な結びつきをアメリカに見せてやりましょう!GMやFORDがなりふり構わずトヨタ車から乗り換えたら1000$(でしたっけ?)キャンペーンなんてやっていますが、そもそもトヨタ車の圧倒的な品質の良さを再確認し(といって胡坐をかいてはだめ)かつてのように人気車種は購入まで数カ月待ちの状況が復活すれば世界の空気はまた変わります。ミチュランガイドの前回と今回のブログにも信頼回復のヒントがいっぱい詰まっていますよね。通りすがりの者が長々と失礼いたしました

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